加工食品の代表格であるハムやソーセージは、自然派界隈では禁忌の食品のひとつ。
その理由のひとつとして「亜硝酸ナトリウム」という添加物が挙げられています。
亜硝酸ナトリウムって何?
亜硝酸ナトリウムは、現在では「発色剤」に分類される食品添加物です。
通常、ハムやベーコンなどの食肉は、加熱すると赤みが消えて褐色になりますが
この亜硝酸ナトリウムを配合すると、しっかり加熱処理した後もピンクの色味がキープされます。
亜硝酸ナトリウムはもともと「防腐剤」だった
この亜硝酸ナトリウムですが、見た目を良くする働きが分かったのは比較的最近のこと。
もともと19世紀のヨーロッパで問題になっていた「ボツリヌス菌」による食中毒を、岩塩由来の亜硝酸ナトリウムが防ぐことが発見されたんです。
亜硝酸ナトリウムを配合すると、ボツリヌス菌を始めとする細菌・微生物の増殖が抑えられます。
ほかにも
- 脂質の劣化を遅らせる
- 食肉の風味を良くする
などメリットが多く、今でも多くの加工肉や魚介ねり製品などに使われています。
亜硝酸ナトリウムは発がん性がある?
という事で、メリットが多い亜硝酸塩なのですが、界隈からは「発がん性があるから食べちゃダメ」と言われる事が多い添加物です。
これに関しては内閣府の食品安全委員会で次のように回答がありました。
本物質に関してはFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)において評価が行われており、発がん性については1995年及び2002年の評価において、ヒトの摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠はないとされております。
また、1995年の評価において、「硝酸塩の摂取量は主に野菜に寄与している。しかしながら、野菜を摂取することの利点はよく知られており、硝酸塩の生物学的利用能※において野菜がどのような作用をもっているかは明らかではなく、野菜から摂取する硝酸塩の量を一日摂取許容量と直接比較することや、野菜中の硝酸塩量を限定することは適切でない」と評価されています。
参考:食品安全委員会
一応、国としては安全性に問題はない(発がん性があるという根拠はない)ので、普通に食べてもらって大丈夫ですよ、というスタンスですね。
添加物に厳しいヨーロッパでも、亜硝酸ナトリウムは普通に使う
当ブログで紹介している添加物は「ヨーロッパではアウト」なものも多いのですが、亜硝酸ナトリウムに関してはドイツをはじめとするヨーロッパで普通に使われています。
使用量に規制はあるものの、亜硝酸ナトリウムが使われていないソーセージなどは「ニセモノ」扱いだったりもします。
亜硝酸ナトリウムは野菜にもたくさん含まれる
もともと岩塩に含まれていた事で効果が発見された亜硝酸ナトリウムですが、自然界に多く存在する成分です。
特に野菜類に多く含まれますが、水洗いや調理過程で一部流出するので、もはや誰がどのくらい亜硝酸ナトリウムを摂取しているかは算定不可能レベル。
「添加物なんて!」と言いながら自家栽培の野菜をモリモリ食べる人でも、亜硝酸ナトリウムはたくさん体内に取り込まれているかも…